共感される情報発信と継続のコツ

記事を書いても、ただ書くだけでは長く続きません。書く側は、記事が読まれることで何かが生まれることを期待して書いているわけですが、何も得られないとモチベーションを保つのが難しく、途中で力尽きます。欲しいのは、読み手の共感です。共感されることで、記事は読み継がれていきますし、広まっていきます。
ですから、情報発信のご相談を受けた際は、書き続けるための仕組みをつくることをご提案しています。

書き続けるための仕組みをつくる
情報発信が続かない最大の理由は、毎回0→1で考えようとすることにあります。たとえば、
・今日は何を書こう
・どんなテーマがいいかな
・どういう構成にしよう
とか。この考えるプロセスそのものが、大きな負担です。出版社の雑誌には年間企画表というのがあって、どの号で何の特集をするか、季節ごとの人気テーマなどが過去の蓄積によってまとまっています。それをブロックのように組み立てています。
個人や企業が情報発信する際も、そのブロックをつくるのです。
書き続けるための2つの準備
1.更新カレンダーを作る
たとえば、週3回ブログを更新したい場合、1か月の更新スケジュールを決めます。その際、曜日ごとの記事テーマも一緒に決めます。
・月曜日:季節のテーマ
・水曜日:自社開発の話題
・金曜日:お客様の声
基本のテーマを最初に決めると、何を書くかの悩みはなくなります。大枠のテーマは決まっていますので、ここに当てはめればよいのです。1か月の更新カレンダーをつくる際は、これを4週間分つくるわけです。同じテーマでも週ごとに何を書き分けるかはあらかじめ見渡しながら考えられるので、0→1に比べるとさっと決めやすいです。
2.記事のフォーマットを決める
次に、記事の基本フォーマットを決めます。1記事に何を入れるかという要素です。
・画像は何枚使うか(例:サムネイル用1点・説明用画像1点)
・文字数の目安(例:2,000文字)
・見出しの数(例:5本)
いわゆる「型」「フォーマット」です。これが決まっていると、用意する画像の枚数や文字数について、都度考える必要はありません。テーマさえ決めれば、たとえば画像2点を用意し、2,000文字を書けばいいことが、おのずと決まります。小さなことですが、これがけっこうラクなんです。
あるECサイトのメルマガ企画の例
あるECサイトの話です。そのECサイトは仕入先を慮って「特定のブランドを推さない」方針を持っていました。ですから、メルマガも季節に合わせたテーマだけで原稿を作っていました。しかし、開封率がいまいち。
ユーザーのサイト内の行動を分析した際に、特定のブランドの検索数が圧倒的に多いことがわかりました。そこで、サイト内検索で人気のブランドアイテムを「季節」や「シーン」と掛け合わせたメルマガを配信したところ、即完売という結果に。
そのブランドは販促しなくても売れるブランドでしたので、即完売しなくてもよかっのですが、探しているお客様が多いなら、探さなくても買える状況を作ることにしたのです。試しにそのブランドの入荷情報と詳細情報をお知らせするメルマガを1通出しました。すると、出した途端に開封率はいつもの2倍、そして、商品は完売です。「メルマガの見せ方ひとつでこれほど差が出るとは」とみなさん驚いていました。
そして、仕入先に遠慮したプロモーションは意味がないと考えるようになり、ユーザーが何を探しているかに注目して、ユーザーニーズに合わせたメルマガを配信するようになりました。
メルマガを見直すにあたっては、過去の売上データを1年分分析し、雑誌の年間企画のように、メルマガの更新カレンダーをつくりました。年間企画表+月間企画表+週間企画表の3つです。加えて、曜日ごとに取り扱う商品やテーマを決めたことで、ネタ切れに困ることはありませんでした。開封率も平均20-30%だったものが、50%前後を維持するようになりました。

データからユーザーの興味関心を見つける
情報発信を続けると、反応の差が出てきます。
- アクセス数が多い記事
- 「いいね」が多い投稿
- コメントが集まる内容
この反応の差はとても重要なヒントになります。反応のある記事は、どこに反応があったのかを確認し、反応がある要素に再現性があれば、それをフォーマットに取り入れます。
ブログの場合は、アクセスの多い記事や流入キーワードからユーザーニーズを見て、人気記事と同じテーマで違いをもたせた記事を増やしていく。
SNSの場合は、いいねなどアクションのあるツイートをもとに、反応のある投稿の特徴を抽出、その特徴にのっとった投稿を心がけます。たとえば、画像つきの反応がテキストのみの投稿より高いので、投稿は画像つきで行うとか。
- 画像付き投稿の反応が良い
→画像を必ず入れる - 具体的な使用シーンへの反応が高い
→実例を必ず入れる - 数字での説明が好評
→具体的な数値を入れる
共感される発信を続けるための方法
情報発信は「公開したら終わり」にはなりません。継続的な改善があってこそ、よりよい発信ができるようになります。
投稿後に確認するポイント
読まれ続ける記事や投稿を続けるには、公開後にどんな反応が得られたか常にチェックします。予想していた反応どおりなのか、期待外れだったのか。反応を集めることで、自分が投稿する記事の特徴もよくわかりますし、得られる反応もある程度予想がつくようになります。
1.投稿の反応をチェックする
- アクセス数の変化
- SNSでの反応
- コメントの内容
2.反応がよかった要素を分析する
- どんな切り口か
- どんな表現か
- どんな構成か
3.とくに反応がよくて再現性の高いものは、フォーマットに取り入れる
- 更新カレンダーの調整
- テーマの追加
- 表現方法の改善
継続のための重要なポイント
大事なのは、完璧を目指さないことです。まずは次の3つから始めます。
- 決めた投稿頻度を守る
- 少しずつ改善を重ねる
- 仕組みを適宜更新する
ひとつ一つの投稿は完璧でなくても、気にしない。とにかく続けることが大事です。続けることがいちばん難しいからです。
やや矛盾しますが、SNSであれ、ブログであれ、共感される発信を続けるためには、投稿後の反応をチェックして、数値で確認することも必要ですが、最初に必要なのは、質より量です。投稿し続けることによって質も磨かれていきますので、質のいいものを出したくて投稿頻度が減るのは本末転倒です。とにかく決めた本数を出し続ける。ここからすべてが始まります。
下手な投稿が続いても、気にしない。続ければうまくなりますが、やめれば下手なままです。

続けられる情報発信のために
情報発信を続けるのに、特別な才能は必要ありません。大切なのは、続けられる仕組みをつくることです。そのためには、
- 更新カレンダーをつくる
- フォーマットを決める
- テーマを組み合わせる
これによって毎回0→1で考える負担が減り、継続がラクになります。まずはここから始めてみてください。続けていくなかで、投稿した記事や投稿の
- 読者の反応を見る
- 人気要素を見つける
- 仕組みに組み込む
このサイクルを回していくことで、少しずつですが、確実に発信の質も高まっていきます。完璧を目指さず、続けることを優先する。そのために小さな改善を積み重ねる。それが、共感される情報発信への近道になります。
ちなみに、私も2025年1月6日からブログを毎日更新することをルーティンに決めました。月間カレンダーでテーマをある程度決めた上で、月-金は仕事に関すること、土日はそれ以外の話題とテーマを仮決めしています。記事タイトルはAIに相談して、先に100本ぐらいタイトル案を出してもらっていて、それをたたき台に書いています。
更新できない日もありますが、2週間を過ぎたあたりから、続けるのがちょっとラクになってきました。おかげでGA4を見るのも少し楽しくなってきました。
ですが、たかだか1か月で分析を始めると何も続かなくなるので、まずは3か月更新が続くよう、質はともかく続けることを最重要課題にしています。今日も無事更新できてほっとしてます。明日はたぶんおやすみです。更新できたら、今日2本書けたと思ってください。