人生を整える最初のきっかけは、登山だった
登山を始めて1年が経ちました。月1~2回行くのが習慣になっています。
体と心の変化
登山を始めてすぐに気づいたのは、体力が想像以上に必要なことです。キックボクシングをやっているから大丈夫かなと思って歩き始めましたが、惨敗。全然距離を歩けませんでした。最初に歩けたのは往復6キロの低山がやっと。もっと楽に登りたくていろいろ試した結果、いちばん嫌いなランニングを始めることに。
加えて、夏の日差しを浴びながら歩くことをしてこなかったので、日差しがつらい。登山をする人の間では「暑熱順化」といって、夏は身体を暑さに慣れさせるそうです。そこで夏の朝と夕方にウォーキングやランニングを500mや1キロから始めて、少しずつ慣れもしました。
今は週3~5回、3~4kmをジムで走り、ランニング大会にも出るようにしています(ただしエントリーは5kmがせいぜい)。ラクに走るための筋トレもするようになると、だんだん走るのがつらくなくなってきました。すると、山で歩ける距離も伸ばせてきて、大歓喜。
今は12km歩いてもそれほど疲労を感じずに帰宅できるようになりました。今年もトレーニングを続けて距離を伸ばし、地元栃木・日光の男体山(2,486m)を苦しくならずに登るのが目標です。
うれしい副次効果もありました。体を動かす習慣が増えていくと、不思議と頭の中がクリアになる時間が増えたのです。
山を黙々と歩く時間は、頭の中のもやもやを整理する瞑想のよう。渓流の音、鳥のさえずり、木々のざわめき。こういった自然の音に触れることが、感覚を研ぎ澄ます後押しになっているのだと思います。日々のランニングや筋トレをこなす時間も瞑想のようで、心に静けさが訪れる時間になっています。
こういう心が整う時間が生まれたからこそ、登山もトレーニングも続いています。
登山時計のデータを見ながら運動強度を調整する
トレーニングや登山中は登山時計をつけて、心拍数を見ながら運動強度を調整しています。データを見ながら調整するのはデジタルマーケティングと同じなので、ランニングを楽しんでやれている理由のひとつです。
フィンランドのスポーツトレーニングの機器メーカーで、心拍計のパイオニアと言われる「ポラール」の「Vantage V2」というモデルを使っています。
こちらのグラフは、時計の心拍計でとれるデータをもとに表示される、心配運動負荷の変動グラフです。運動強度を上げると、下段水色のグラフ領域が上がっていきます。上がっていけばいくほど体力がつくのを実感できるので、トレーニングが楽しいです。
うれしくて運動強度を上げすぎると、疲労が抜けにくくなってケガしやすくなるので、適度に筋肉休暇を設けることも必要です。その指摘も、時計にアラートが出るので安心(?)です。
12月は体調を崩していたのであまり走れていません。そのため、耐久力が下がってしまいました。耐久力を上げるには時間がかかるので残念ですが、まあそういう時期もあるよねと思って、年末年始からまたちょこちょこ走っています。
1gでも軽くしたい
モノに対する考え方も、登山を始めてから大きく変わりました。
山では持ちものを最小限に抑える必要があります。とはいえ、荷物を省略すると命の危険が生じるため、水や食料、寒暖差の調節や雨風をしのぐ衣服が常に必要です。ひとつ一つのモノの重さは軽くても、全部背負って4〜5時間歩くとなると、私にとってはたいそうな負担になります。その重さが、堪えます。
「1gでも軽くしたい」
その感覚が日常生活にも影響し、日用品やクローゼットの中身も自然と見直すようになり、モノの数が減ってきました。「山に行くために必要なものは命を守る最低限のもの」と思って身の回りを改めて見渡してみると、いらないものばかりがあるように感じるのです。
結果的にモノが減っていて、頭の中も、気持ちも整理されていく感じです。
仕事での集中力が上がった
体力がついてきたことで、仕事での集中力が明らかに上がってきました。机に座っていて「疲れた……」とへたるような瞬間がほとんどなくなりましたし、疲れを感じる時間が減ったので、集中力が途切れにくくなったように感じます。
なにかで作業を中断したとき、再度集中状態にもっていくのは少し時間がかかっていたのですが、中断後もサッと集中できるようになりました。集中力って体力の問題???(私の場合は、ですけど……)
これは感覚の問題なので例を挙げにくいのですが、自然の中で感覚を研ぎ澄ませる時間をもつようになったせいか、直感も冴えてきた気がします。ピンとくる頻度が上がったというか。
それに、心が整った状態で仕事に向き合えるのも大きな変化です。「自分の内側が整った状態で仕事ができるのは、こんなにも快適なのか~!」と思う瞬間が増えているのです。でも、山に行けない期間が長くなると、鈍ります。それはすぐにわかります。
山で自分を整える
私にとって「自分を整える」方法のひとつは、山歩きとランニングと筋トレです(これらはワンセット)。
ランニングも筋トレも嫌いでしたが、高い山に登りたいと思うと、欠かせないものになりました。むしろ毎日の楽しみです。記録が伸びるとさらに楽しい。ひいては、登山に関わるすべてを楽しみ尽くすことが、自分を整えることになっています。
体を動かすことで心が整い、心が整うことで仕事の質も上がっていく。この1年で体験した変化は、言葉にしてみるととてもシンプルです。シンプルであることには、力があります。必要なものを見極め、余計なものを持たない。その感覚が、仕事にも暮らしにも、いい影響を与えてくれています。
登山を始めた影響が人生全体に波及して、すべてを整えにかかっているのです。そう考えると登山ってすごいと思いませんか? 私は好きすぎて困ってます。こういう人を「好山病(こうざんびょう)」と呼ぶそうです。
冒頭の写真は金時山(神奈川県/2024年11月)です。この日は富士山が見えませんでしたが、箱根が大好きなので、この景色を見られただけでも大満足でした。
中央奥の湖は芦ノ湖、左の山は大涌谷です。山肌から煙がもくもく上がってます。