個人事業主や経営者は、どんな言葉で人に覚えてもらうかがけっこう大事

SEO(※検索エンジンで見つけてもらうための工夫)の話をすると、難しい専門用語や複雑なテクニックがたくさん出てきます。ですが、個人事業主や小さな会社の経営者にとって本当に大切なのは、そういった技術的なことよりも自分がお客様にどんな言葉で覚えてもらうかです。
自分がお客様にどんな言葉で覚えてもらい、その言葉で探してもらったときにちゃんと見つかる。それが、個人事業主や小さな会社がインターネットで商売を始めるときの、はじめの一歩です。
芸人さんが「今日は僕らの名前だけでも覚えていってくださいね」と最初の挨拶でお話ししますが、アレです。コンビ名を覚えていたら、あとから検索できますよね。そんなイメージです。

1.専門分野を決める
なぜ専門分野を決めることが大切なの?
サービスを提供する際、「何でもできます」と言うより、「これが得意です」と言ったほうが、人の記憶には残りやすいものです。専門分野を決めることで、あなたの存在が多くの競合の中でも目立つようになります。
たとえば、私もウェブマーケティング関連については頭と手を使うことができますが、それは結局「何でも屋」にすぎず、何でも屋に頼みたい方はいません。「SNSをなんとかしたい」ときは、SNSに特化した専門家に頼みたいと思いますよね。ですから、私が最も強みとすることがSNSの専門家だとしたら、私が店に掲げる看板は「SNSの専門家」となります。
あなたというサービスと出会うきっかけをつくるために、どんな言葉が新しいお客様の入口になるか。どんなキーワードが入口になって、お客様があなたのドアをたたきたくなるか。
そのための看板が、検索キーワードです。
専門分野の決め方
好きなことから選ぶ
長く続けられるのは、自分が本当に好きなことや、得意なことだけです。「市場やニーズがあるから」という理由だけで選んだ分野は、すぐに飽きてしまうかもしれません。ですから、まずは自分が長く楽しく飽きずに取り組める分野を考えます。
すでに持っているスキルや経験を見直す
あなたがこれまでの人生で身につけてきたことの中に、カギが隠れているかもしれません。以前の仕事の経験、学生時代に学んだこと、趣味で得た知識など、すべてが専門性の種になります。
専門分野を具体的な言葉で表す
これと思う分野が決まったら、人との違いを表す言葉を考えます。たとえば「料理教室」だとしたら、「子どもと一緒に作れる時短料理教室」とか、「自炊の基本を学ぶ料理教室」のように、具体的な違いを考えます。
【例】
×「整体師」
○「デスクワーカーの肩こり専門整体師」×「カメラマン」
○「わんちゃん・猫ちゃんの自然な表情を引き出すカメラマン」
2.どんな言葉で検索されたいか決める
キーワード選びは自己紹介のようなもの
SEOでは「検索数の多い言葉を狙う」とよく言われますが、個人事業主や経営者にとっては「どんな言葉で見つけてもらいたいか」「どんな言葉で覚えてもらいたいか」を考えることのほうが大事です。
たとえば、私が「ウェブマーケティング 新宿」とか「SEOライティング 新宿」で検索して最上位に表示されるのって、ふつうに考えて無理ですよね。上場企業や有名企業に負けます。
検索されたい言葉の決め方
お客様が使う言葉を知る
特定のジャンルで長く仕事をしていると、つい専門用語を使ってしまいがちですが、お客様はもっと簡単な言葉で検索しています。お客様の立場になって考えます。
あなたらしさが伝わる言葉を加える
検索されたい言葉に、あなたの個性や価値観が反映されるようにします。
【例】
×「英会話教室 横浜」
○「話せるようになりたい人の基本の英会話 横浜」×「ガーデニング アドバイス」
○「小さな庭でできるガーデニング アドバイス」

3.検索されたい言葉に必要な記事を用意する
記事は看板のようなもの
あなたが選んだ言葉で誰かに見つけてもらうとしたら、その入口になるのはあなたが書いた記事です。その記事があなたの専門性や人柄を伝える「看板」になります。
効果的な記事の作り方
お客様の「知りたいこと」に答える
同じキーワードでも、検索する方の目的は様々です。基本的な情報が欲しい方もいれば、詳しい方法を知りたい方、すぐに依頼したい方もいます。それぞれの段階に合わせた記事を用意します。
あなたの専門性を示す
「なぜあなたがその分野の専門家なのか」を記事の中で自然に伝えます。経験や資格、実績などを具体的に書くことで信頼感が増します。プロフィールページや会社案内は最も読まれるページですので、そこをしっかり書き込んでおきたいところです。
自分らしさを出す
どんな記事を書くにせよ、似たような記事はたくさんあります。そこで違いを感じてもらうには、体験談や考え方、独自の表現方法を取り入れることが必要です。それによって、その記事に「自分らしさ」を醸し出すことができます。
1本の記事だけでは難しくても、それを10本書くと、「自分らしさ」は伝わるようになります。文章の語り口や、事例の紹介のしかた、何が好きで、何が嫌いかとか。
【例】
私の場合は、「コンテンツの磨き方」とか「自分らしさを活かすSEO」という言葉に注力して、記事を書くようにしています。このふたつはこのブログの「カテゴリ」にも採用しています。
「自分らしさを活かすSEO」カテゴリの記事はこの記事が1本目なので、もう少し記事が増えたらカテゴリを出す予定です。

3つのステップが「はじめの一歩」に大切な理由
SEO(※検索エンジンで見つけてもらうための工夫)には細かいテクニックがたくさんありますが、この3つのステップなしには、どんなに高度なテクニックを使っても効果は出にくいです(大企業で予算が潤沢にあって、という場合はまた別のやり方がありますが)。
個人事業主や小さな会社の経営者の場合、ニッチな市場で適切な規模感のお客様と良好な関係を築いてビジネスを成立させたい、というケースがほとんどだと思います。その場合、みんながよく使うキーワードを使って、SEOでばんばん上位表示を目指すみたいなことは、効率がよくない上に、現実的ではありません。
だからこそ、自分の名前や会社の名前、サービス名を覚えてもらいたいのです。そして、その覚えてもらった言葉で検索したときに、検索結果に出てくることが重要になります。
土台があってこその家
家を建てるとき、まず丈夫な土台が必要なように、SEOも基本があってこそです。専門分野を決め、検索されたい言葉を選び、必要な記事を用意することは、インターネット上で商売をする上での最も大切な土台となります。
自分軸のSEOがお客様との縁を生む
テクニックだけに走ると、一時的に検索順位が上がりますが、本当に相性のいいお客様とは出会いにくいです。「検索結果のいちばん上にあったから」という理由で、中身をよく読まずに問い合わせをする方もいるからです。個人事業主や小さな会社の経営者の場合は、それをひとつずつ対応していたらいくら時間があっても足りません。
ですから、自分らしさを活かした専門分野やそれを表す言葉を決め、その言葉を説明する記事を置いておく。それを積み重ねて、相性のいいお客様との出会いを自分の手でつくります。
継続できる仕組みづくり
インターネット上で検索結果に表示されたり、探したときにすぐに見つかるようにするには、少し時間がかかります。長く続けることで効果が出るものだからです。だからこそ、自分の好きで得意な分野で、自分らしい言葉を使って発信することで、続けやすい仕組みができます。
ちなみに私はどう選び、記事を書いているか
どんなキーワードを選んだか
私の場合も、自分のキーワードを決めるのに難儀しまして、とてもぐるぐるしました。SNSやブログやいろいろやっていて、結局落ち着いたのは、私が検索されたいキーワードは
「まてぃさん ブログ」
に落ち着きました。実際、これがいちばん覚えられやすく、検索キーワードとして使われるようになってきました。5年半くらいやっている結果かなとも思います。
▼こんな感じで出てきます。

専門分野はどう決めたか
こちらの記事に詳しく書いたのですが、
「自分らしさを出せるSEOライティング」
「自分の商品・サービスのよさを伝えるコンテンツの磨き方」
です。
▼「コンテンツの磨き方」は1月から取り組んでいるのですが、ちょっとずつ上がってきました。「コンテンツ」というキーワード自体が難易度が高いので、違う言葉を付け加えることで難易度を下げています。

デジタルマーケティングの分野は広すぎて、何にどう焦点を充てるかってすごく難しいんですよね。ライティングとかSEOとか書いてしまうと、その仕事ばっかりが来てしまいますし。
何年も試行錯誤と葛藤に次ぐ葛藤を重ねたものの、私は結局全部やりたいんだよねという欲張りプランなんですが(笑)、そのなかでも、入口として提供したいスキルはこのふたつかなと落ち着き、サービスも見直してつくりなおしました。
これをつくって、ああそうか、私がやりたかったことってこれだよねと、自分で腑に落ちましたし、「何者でもない自分を何者かに自分で育てる」ことを始めたわけですが、なんとなく芽が出てきた感じもあります。

今日からできること
すぐに実践できるようにシンプルな行動リストをつくってみました。「自分が探されたい言葉が何か、ぼんやりしているかも~」という方は、ぜひ試してみてください。
今日からできること
- 自分の専門分野を決める
- 紙やデジタルのメモ帳に「私の専門分野は___です」と書き、埋めてみてください
- もっと具体的にできないか考えてみます
- 検索されたい言葉を決める
- あなたの専門分野に関連する言葉を5つ書き出してみます
- それぞれの言葉に、あなたらしさを表す言葉を加えてみます
- 最初の記事テーマを決める
- 検索されたい言葉について、どんな記事を書けるか考えます
- 最も書きやすいテーマから始めます