日々実践している語彙力を増やし、鍛える方法

語彙力は残念ながら自然に育ちません。語彙力を増やし、鍛えるには意識的な努力と継続的な習慣が必要です。この記事では、出版業界で約19年働き、その後も原稿を書く仕事を続けている私が、日々実践している語彙力を鍛えるための具体的な方法を紹介します。

語彙力を増やすためにしていること(結論)
増やしたい語彙力に関するジャンルにおいて、
- 入門書を読む
- 漫画を読む
- 雑誌でビジュアルを知る
- 上記の流れを踏んだ後、一般書・専門書を読む
この流れを踏んでいます。急いでいるときは書籍なら5~8冊ぐらい、通常は1ジャンルについて少なくて10冊、たいてい50冊ぐらい読みます(漫画や雑誌が入ると結構読めます)。そのぐらい読むと特定ジャンルの、以下の内容を概ね把握できるようになります。
- 基礎表現と基礎知識
- 決まった言い回し
- 当該ジャンルにおける「あるあるネタ」
- 物事を実行するにあたっての「基本的なストーリー(流れ)」
これらが頭の中に入ると、初心者が知っておきたいこととして知ることができると同時に、表現が言葉とビジュアルで頭の中に定着します。
Webページの場合でも同じことは可能ですが、オンラインに落ちている情報はフェイクや広告が多く、情報を見分ける手間がかかります。そこを通した上で少なくとも30~50ページぐらい目を通すことで、情報の取捨選択ができるぐらいの“目”と“勘所”がつかめるようになります。
語彙まで育てたい場合は、関連図書をその後読むことをおすすめしたいです。
語彙力を増やすとは、新しい辞書をインストールすること
語彙力を増やすために、以前言葉の優れた書籍を紹介する記事を書いたのですが、それ以前に、頭の中に「新しい辞書」をインストールする感覚をもつ=語彙力を高めると今は思っています。

「語彙がない=頭の中に特定ジャンルの辞書がない」と考えているためです。「語彙が増える」とは、口からついて出てくる言葉や言い回しが増えるイメージがありますが、言葉に関する事例や使われる背景を知らないままだと適切な意味とタイミングで表現を使うことができません。
わかりやすい例だと、就職したり転職すると、その会社ならではのカルチャーに沿った言葉や言い回しがあります。入社直後はわからないことだらけですが、社内用語やルールを覚えると、周囲の方が何を話しているのか適格に理解し、自分でもその言葉を使えるようになります。
それは「〇〇社に関する語彙」を辞書として頭にインストールが完了した状態になった、とも言えます。
語彙の“辞書”を頭の中にインストールする作業例
最近の私自身の例を紹介します。
去年11月に突然登山に目覚めて、毎日山に関する本を読んでいるのですが、そこで語彙問題に当たったんですよね。「私には山に関する語彙が頭の中にない」と。
登山関連の本を読むと当たり前のように出てくる単語が色々ありますが、山に関する言葉が私の頭の中にないので、書籍を読むと文脈はつかめますが、細かいディテールがわからないのです。
そこで、山に関する語彙を増やすために何をしたかというと、
- 登山の入門書
- 登山漫画
- 登山雑誌
を読みました。何をしているかというと、
- 登山に関する基本用語を覚える
- 登山に関する「あるあるネタ」や「基本的な登山の流れ」を知る
- 登山に関するビジュアルと言葉から連想される物事を頭の中でつなぐ
この辺をすると、登山に関する基礎知識が言葉・ビジュアル・登山に関する基本的な流れ・あるあるネタがざっくり頭の中に入ります。その上で、登山関連の専門誌や専門書を読み進めると、登山に関わる人間が知るべき基礎情報が省かれていても「〇〇が前提になった上での話題である」と認識できるようになり、読み進められるようになりました。
そこまで理解できると、登山YouTuberが話す内容も理解できるようになるので、今はYouTubeも色々見ています。

語彙を増やす本の読み方
「頭の中に特定ジャンルの表現と知識の辞書をインストールする」のが語彙を増やす・鍛えることだとここまで説明しました。上記は学びたいジャンルの語彙の増やし方ですが、ふわっと〇〇ジャンルの語彙が増やしたい場合は、
- ミステリーだけ30冊読む
- 古典だけ30冊読む
- マーケティング本だけを30冊読む
- SNS本だけ30冊読む
- 料理本だけ30冊読む
などをすると、各ジャンルの“それっぽい”表現を頭の中に入れることができます。
これは、編集者2年目のとき、他社の超ベテラン編集者(30年選手)Hさんに教えてもらった方法です。
短期間で全体を把握し本質をつかむにも◎
編集者は限られた時間で読者に対して、質が高く、正しい情報を深堀りした上で企画を考えます。その際、どうやって多彩で多量な情報を集めて、自分の中で噛み砕いて調理できるかがカギになります。
話は少し逸れますが、当時就職して2年目だった私は、全20巻の大型シリーズ本企画の、うち3冊の担当編集をしていました。プロジェクトは進行が滞っていたタイミングでHさんが投下され、圧倒的スピ―ドで全体を把握。時間差1年半からあっという間に追いつき、正しい情報を整理して企画の道筋を再定義。無事プロジェクトを完結と成功に導きました。
Hさんの関連資料を読む速さも驚異的なスピードで、物事の本質を見極める目の違いが並み居る先輩方の中でも群を抜いていました。
なぜこの方法をここで書いたかというと、この方法は、
- 未知のジャンルに対する情報を把握する
- 未知のジャンルの語彙を短期間で増やせる
- 物事の全体把握のスピードアップ
に非常に役に立つからです。取材やインタビューを行う際もこの手順を踏んでいます。この方法で机上で集められる情報を集め、その後、人や場所を当たります。
その後、外に出て一次情報に当たりながらアウトプットも行うので、短期間で頭の中に入れた情報が定着し、自分の言葉になって出てくるようになります。この段階を経ると、多量のインプットによって新たな辞書を頭の中にインストールできたとも言えると思います。
人によってやり方はそれぞれと思いますが、語彙を増やし、鍛える方法として私にはこのやり方が日常のルーティンにもなっています。
よかったら試してみてください^ ^