自分の価値をユーザー行動につなぐ文章の書きかた
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ブログやSNSを書いても書いても、ユーザーからの反応はないし、申し込みを取れない。そういうときは、投稿している文章に足りないものがあります。自分の価値とユーザー行動を結びつける“橋”がないのです。

伝わるのと行動を起こすことの本質的な違い
まず、ブログやSNSは、更新を続けること自体が難しいです。そのため、書き慣れることを目的にとにかく更新をまずは続けますが、書くことに慣れてきたら、行動を起こすための文章を書き入れるようにします。ユーザーが情報を知識として理解することと、実際に行動に移すことの間には、心理的な壁が存在します。その壁をつなぐために、「自分事」として捉えてもらえるよう橋をかけるのです。
たとえば、暮らしに役に立つ記事を書いたなら、日々の生活に取り入れてもらえるよう行動のポイントを3つぐらいにまとめたりします。そうすると、活かせそうな場面がユーザーの脳裏に具体的に浮かんだら、「やってみようかな」と行動への可能性が上がる、みたいなイメージです。
たとえば、料理動画を見て、「この材料なら今冷蔵庫にあるから作ってみようかな」とか、ダイエット動画を見て、「このカロリー計算なら私にもできそうだからやってみようかな」とか、ランニング動画を見て、「ラクに走れるランニングフォーム、これならやれそうだから今日やってみよう」とか。そういう具体的なイメージが瞬時に湧くのが望ましいです。
なぜ価値が伝わっても行動につながらないのか
現代人は情報の洪水のなかを生きていますので、ただ単に「これいいよ」と価値を伝えるだけでは、こちらの思いは伝わりません。ユーザーの心に響き、具体的な行動を促すには、より心に響くアプローチをしたいところです。
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1.具体的なイメージを描けるようにする
イベントの告知記事を書く場合は、参加することで何を得られるか具体的にわかるようにします。
【Before】
「充実した内容の講座です」
【After】
「講座で学んだことを使って、翌日から自分のブログの改善ができます」
改善後のポイントは、次の点が明確になっています。あたりまえのことのように思えますが、これができていない記事は意外と多いです。あたりまえのことすぎて忘れちゃうんですよね。
- いつから(翌日から)
- 何ができるか(ブログ改善)
- どう役立つか(実践できる)
2.時系列で体験をイメージできるようにする
イベントや講座に参加したときの流れを、具体的に示します。そうすることで、参加したときのユーザー自身の行動イメージが描けます。それが自然と思い浮かばない場合は、参加イメージが湧かないので、参加意欲は湧きにくくなります。
- 申し込みから開催までの流れ
- 当日のプログラムの展開と詳しい内容
- 終了後のフォロー体制(あれば)
こうすることで、ユーザーは自分が参加した姿をイメージしやすくなりますし、「行ってみようかな」と検討する可能性が高まります。
3.次のステップをわかりやすくする
ユーザーが自身の参加イメージを描けたところで、次の行動を起こすための行動を示します。イベントや講座の場合は、日時や場所、参加条件などがそれにあたります。
- 開催日時
- 開催場所
- 申し込み方法
- 参加条件
- 参加費用
イベントや講座開催の場合は、最低限の情報ですが、「申し込む」ボタンは目立つのに、参加条件や参加費用をわかりにくい場所に示したり、文字色を変えて目立たないことが多いです。繰り返しますが、申し込みページでユーザーが最も見たい情報が、日時と場所、申し込み方法・参加条件・参加費用です。
ユーザーが興味をもって「行ってみようかな」とぽわんと頭に浮かんだあと、その決定打となる情報が日時と場所、申し込み方法・参加条件・参加費用です。これが見つかりにくいと次の行動が取りにくくなりますので、わかりやすい場所にわかりやすく置きたいです。
高額講座の集客に成功したケース
2日間で16万円(+税)のコーチング講座を集客していたときのことです。
潜在顧客を絞る
まず、潜在的な受講生の特徴を絞りました。
- どんなことで困っているのか
- 困っていることを解決するために何を身につけたらどう変わるか
- コーチングを受けた経験がある会社員の方で、役職のある方
- 会社員としてのスキルアップ・マネジメント力向上を目指している方
これらの要素を盛り込んだブログ記事を作成し、メルマガでも配信。実際のコーチング受講生に向けてメルマガを送っていましたので、もう少しつっこんだ内容を個人が特定できない事例を交えて挿入していました。当然ながら、そちらの反応はとてもよかったです。
記事を書くときの工夫
1.記事の内容
- ユーザーの日常にある課題を具体的に示す
- コーチングを使った課題解決方法を今すぐ試せる方法も交えて説明する
- 講座で得られる具体的な成果や事例を紹介する
2.ユーザーの行動につなげる工夫
- コンテンツSEOを使って適切なユーザーを集める
- 同テーマの記事を多く投稿し、テーマに対する信頼性をつくる
- 自然な流れで講座案内につなげる
成果が出た理由
高額な講座ですが、定期的な申し込みを獲得できた理由は次の点にあります。
- 読者の課題に寄り添った内容
- 具体的な成果が得られるイメージをつくれた
- メルマガで内輪ネタも使いながら信頼関係をつくれた
つまり、ユーザーが「この講座を受ければ、自分の〇〇の課題が解決できる」と具体的にイメージできたのです。メルマガの開封率がいいユーザーには、タイミングが合えば講師の方から直接のお声がけもお願いしていました。
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ユーザー行動につながる文章を書くために
情報の洪水の中で、ただ「この講座には価値がある」と伝えるだけでは、当然ながら行動には結びつきません。
大切なのは、理解して行動につなぐ意識の橋渡しを行い、「自分事」として捉えてもらうこと。そして、継続的な発信により、「この方に相談したらよさそう」と思ってもらえるような信頼の構築です。
ユーザーに行動を促す文章は、一方的な価値の押しつけではありません。文字だけなら、誰でもいくらでも書けます。ですが、そこをショートカットせず、ユーザーに寄り添い、具体的なイメージを丁寧に提供し、実践的なステップを示し続けることで「これ、やってみたい」と思ってもらえるような信頼を獲得できます。そこで初めて、ユーザーは次のアクションを取ってくれるのです。
実践のためのチェックリスト
- ユーザーの立場に立って書いているか
- 具体的な体験イメージを提供しているか
- 次のアクションが明確か
- モチベーションを高める表現を使っているか
- 行動のハードルを下げる工夫をしているか
そんなわけで、チェックリストを用意してみました。行動につながる文章を書きたいときは、こちらも参考にしてみてください。