「言葉にならない想い」を言葉にする方法
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言葉にできない大切な想いは、誰の心にもあります。とくにビジネスにおいては、自身のサービスや価値観について、普段じっくりと振り返る機会は少ないもの。この記事では、心のなかにある「言葉にならない想い」を丁寧に引き出す方法についてご紹介します。
自分の心に問いかけて、自分が何をしたいのか、どこを向いているのかを言語化したい方向けです。また、インタビュアーとして記事を書く方のインタビュー案の参考になればと思います。
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インタビューによる価値の掘り起こし
基本となる3つの軸
たとえば、「情報発信をしたいけど、自分が何を発信していいかわからないので相談したい」という方には、情報発信の軸を定めるために次の3点を確認するようにしています。
- ゴールに対するビジュアルイメージ
- 誰に何を伝えたいかの具体的な方向性を見つける
- 何のために情報発信するか目的を明確にする
この3つがブレブレだと、うまくいかないことが多いです。とくに「誰に」「何を」がおおざっぱだったり、「とにかく大勢!」みたいな場合は、コンテンツの軸が定まらないことがほとんどです。
逆に言うと、この3点を決められると「言葉にならない想い」の発信源がわかることが多いです。すると、自然と何を軸として発信するかが定まりますし、自身の価値や根底にある価値観が形になりやすいです。
具体的な質問例とその意図
価値の掘り起こすために、続いて以下のような質問をします。
つくりたい未来
- あなたが、これから人に呼ばれたい肩書きはなんですか
- 「口に出すと壮大すぎて恥ずかしいけど、こうなったらいいなあ」と思うイメージはどんなイメージですか
お客様像
- あなたのお客様はどんな人ですか? どこに住んでいて、どんな生活を送る人で、何が好きな人ですか
提供できる価値
- お客様に最も依頼されたいあなたのサービスはなんですか
- あなたがお客様に最も提供できる価値は
価値提供の成果
- お客様があなたと出会って『あなたのおかげで〇〇になれた/できた』などの言葉を受ける際、〇〇にはどんな言葉が入りますか
- これまでのお客様があなたのサービスに出会ったことで、半年や1年後、どう変化したか。その例を聞かせてください
言葉を掘り起こしてわかることもある
私たちは日々、様々な想いを胸に秘めながら暮らしています。しかも、忙しい。そんななかで、自分の思いや価値観を他者にわかりやすく伝えることは、難しいです。とくにビジネスにおいて自分のサービスや強みを語る際、その本質的な価値を適切に言語化できないことが多々あります。
ですが、こうした質問を通じてお話しすると、過去・現在・未来を振り返る機会ができるので、行動の原点を思い出したり、「本当は〇〇をしたかったのに忘れていた」などの気づきを得ることができます。
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引っ張り出した言葉を「翻訳」して記事にする
ここは余談ですが、インタビューで得られた言葉を記事にする際は、以下の点に注意を払いながら記事にします。この流れで記事にします。
- キーメッセージを決め、タイトルを決める
- キーメッセージとタイトルをもとに入れたい要素をピックアップする
- ストーリー性のある構成案を考える
- 話し言葉から書き言葉に変換する
- 文脈や背景情報を補う
- キーメッセージから外れた話題は削除する
- 原稿を書く
伺った話が「10」の情報量だとしたら、記事にする内容は「7」ぐらいでつくります。
紙の雑誌や書籍をつくっていたころは、「10」の情報を集めて「2」に凝縮して記事化すると教わりました。ですが、今は昔の出版社ほど流れる時間がのんびりしていませんし、取材相手も「2」しか記事になっていないと、「あの話は?」となります。ですので、最近は「7」あるいは「8」ぐらい、取材で得た情報を記事にするイメージです。
この手法がもたらす価値
実際、こうした手法で価値を言葉にしたクライアントからは、以下のような反応があります。
「なるほど、こうやって伝えればよいのか…! と目からウロコでした。また、まとまって伝えることで、私がやりたいこと目指していることをよくわかってもらえるのではと思いました」
「自分のなかにあるけど、うまく引き出せない言葉や概念をまとめてもらえると、思考の整理にもなりますね」
前述の質問群を通じて、自分の奥に眠っていた価値を言葉にできるだけでなく、
- 自身の思考や価値観の整理ができる
- 目指す方向性がわかる
- 目指す方向がわかるので、具体的なアクションプランが立てられる
- 新たな気づきや発見でモチベーションができる
といった価値も生まれます。私もときどき自分に対して行っています。
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実現したい次の未来が生まれる
「言葉にならない想い」を言語化することは、情報発信以上の価値があります。
とくに、「人生で一度はやってみたいと思っていたけど、自分なんかにできるわけない」と感じるような気持ちに気づくこともあるからです。それはきっと「自分が人生でいちばんやりたいこと」で、「できなくて失敗したら怖いから、ちょっとやそっとのことでは実行できない怖いこと」です。
それ、いつやりますか?
「私はそれを今やりたい」と思って、こうして記事を書いています。この記事を読んでくださっている方にも、そういう想いがあると思います。ぜひ少し時間を取って、自分の心に問いかけていただけたらうれしいです。怖いけど、楽しいです。