仕事で発揮できる「自分らしさ」の見つけ方
「うちにはとくに特徴がないんです」
「ほかと比べて、これといった強みが…」
クライアントにお話を伺うと、こんな言葉をよく耳にします。でも、本当にそうでしょうか。
編集者のときも、デジタルマーケティングの仕事をするようになってからも、多くの方々の「物語」に触れてきました。そこで気づいたのは、誰にでも「その人らしさ」があるということ。それでも「うちにはなくて……」とおっしゃるのは、あまりにも当たり前すぎて、本人が気づいていないだけなのです。
「自分らしさ」が見つからない理由
「うちは本当に普通の会社で…」と話すあるクライアントの話です。
お話を伺うと、
- 個性を活かした採用と昇進
- お客様とのコミュニケーションを記録し、社内共有
- メンタルと健康の維持を目的とした活動
などを社内で普段行っていらっしゃいました。第三者から見ると、これらは十分に「その企業らしさ」やその活動が会社のカルチャー(社員ひとり一人の心に根づく日常や会社のあり方・考え方)の基盤であることがわかります。
これらがその会社ならではの特徴、つまり「自分たちらしさ」として認識されていないのは、なぜでしょうか。
おもに4つの理由があります。
1. あたり前すぎて気づかない
毎日の業務の中で自然に行っていることは、特別なことだと感じにくいものです。
「お客様とのコミュニケーションの記録と共有」も、実は特筆すべき強みです。
・ささいな会話も大切な情報として記録
・社員全員がアクセスできる情報共有システムに記録
・定期的な振り返りミーティングを行い、お客様の声をもとに改善する
これらは、「お客様との関係性を大切にする」という価値観が形になっているのがわかります。
同じことをしている会社は他にもありますが、すべての会社がそうしているわけではありません。顧客は同じことを1から説明せずに話ができるので、「言った言わない問題」も起こりにくいです。いつもスムーズにコミュニケーションが取れるのは、顧客にとってうれしいですよね。社内の方にとっても、ストレスが減りますし。
2. 他社と比べすぎている
・「他社はもっと○○している」
・「あの会社のように△△ができていない」
こんなふうに、つい他社と比較しながら自分たちを評価してしまいがちです。でも、大事なのは、比較して優れているかどうかではなく、自分たちがどうありたいと考え、行動しているかです。
3. 近すぎて見えていない
自分の強みは、意外なほど近くにあります。だからこそ、客観的に見ることが難しいのです。自分の声が録音で聞くと違って聞こえて変な感じがしますが、そんなイメージです。普段の自分の「らしさ」も、少し距離を置いて見てみると違った形で見えてきます。
4. 否定的な視点にとらわれている
・「できていないこと」
・「足りない部分」
・「まだまだな点」
私たちは不思議と、自分の足りない部分には敏感です。できていないことを数え上げるのは簡単かつ得意なのに、自分の強みを挙げるのは難しいです。
こうした否定的な視点にとらわれているうちは、本来持っている「自分らしさ」に気づくのは難しいかもしれません。
「らしさ」を見つける4つのワーク
自分らしさを見つけるためのワークがあります。ここでいくつかご紹介しますので、できそうなことを試してみてください。
まずは、目の前の紙とペンで始められる簡単なワークから。小さな一歩が、大きな気づきにつながります。
ワーク1:時系列で振り返る
【準備するもの】
- 紙
- ペン
- 付箋(あれば)
- 30分ほどの時間
【手順】
- 印象に残っている出来事を書き出す
・仕事での転機
・嬉しかった経験
・苦労した思い出
・心に残るお客様との出会い
※否定的な経験も含めて、思い出すままに書き出します - それぞれの出来事に「なぜ」を書き添える
・なぜその経験が心に残っているのか
・そのとき、何を感じたか
・その経験から何を学んだか
・今の仕事にどうつながっているか - 書き出した内容を眺めて、共通点を探る
【実際の例】
あるクライアントが時系列で経験を振り返ったとき、こんな発見がありました。
「困っている人の力になれた経験」が、必ず印象深い出来事として挙がっていたのです。それは学生時代のアルバイトでも、新入社員の頃でも、独立後でも変わらない一貫した特徴です。この「人の役に立ちたい」という想いこそが、実は事業の核となる「らしさ」だったのです。
面白いことに、一見ネガティブに感じていた経験からも、大切な気づきが得られました。「この仕事は合わないと感じた」という経験も、実は「自分がどんな仕事に向いているのか」を教えてくれるヒントだったのです。
今日はここで時間切れになってしまったので、残り3つのワークは次の記事に続けます。