経験こそが最高のコンテンツ

経験のコンテンツ化
まてぃさん

「ブログを始めたいけど、何を書けばいいのかわからない」
「コンテンツマーケティングの重要性はわかるけど、ネタが思いつかない」
「他社と差別化できるコンテンツって何だろう?」

多くの方がコンテンツをつくろうとすると、この悩みに直面します。専門的な情報はすでにネット上に溢れていて、「自分が書いても他と同じになってしまう」と感じてしまいます。

しかし、誰もがすでに最高のコンテンツ素材を持っています。これまでの経験、そのすべてです。本記事では、なぜ経験が最高のコンテンツになるのか、そしてどのような経験がコンテンツとして価値があるのかを解説します。

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経験をコンテンツ化するメリット

差別化できる(他者がまねできない一次情報)

インターネットには膨大な情報が溢れていますが、その多くは「二次情報」です。つまり、自分以外の誰かから得た知識を整理して発信しているに過ぎません。

一方、あなた自身の経験は「一次情報」です。実際に体験し、感じ、考えたことは、他の誰も同じようには語れません。この一次情報こそが、他との差別化を可能にする最大の武器になります。

たとえば税理士の方の場合。「税務調査の対策」というテーマで記事を書きたいとします。一般的な対策をまとめた記事は多くありますが、「税理士として100件以上の税務調査に立ち会った私が見てきた調査官の本音と効果的な対応策」というタイトルをつけてみます。するとこの記事は、経験に基づくあなたならではの価値ある情報になります。違いが生まれますよね。

信頼性の構築につながる

読み手であるユーザーは経験に基づく情報に信頼感を感じます。「私はこれを実際にやってみて、こんな結果になりました」という情報は、単なる理論や推測よりもはるかに説得力があります。通販サイトでレビューがない商品が買われにくいのも、同じ理由です。誰かの「よかった」を聞いて、「私も買おう」と信頼して買いたいからです。

経験に基づくコンテンツは、あなたの専門知識だけでなく、実務能力や問題解決能力も示すことができます。これにより、「この人なら私の問題も解決してくれるかもしれない」という期待をユーザーに持ってもらいやすくなります。

共感が生まれる

経験に基づくコンテンツには、感情や苦労、挫折、成功の喜びなど、人間らしい要素や感情が自然と表現されています。これにより、同じような課題や悩みをもつユーザーとの間に強い共感が生まれます。

「私もそれで悩んでいる」「同じ経験をしたことある」と感じてもらえるコンテンツは、ただの情報提供を超えて、ゆるい心のつながりを書き手と読み手の間にもたらします。この共感こそが、あなたのファンを作り、長期的な関係構築のきっかけをつくっていきます。

SEO評価(E-E-A-T)で有利になる

経験を具体的に示したコンテンツは、GoogleのE-E-A-T(Experience, Expertise, Authoritativeness, Trustworthiness:経験、専門性、権威性、信頼性)の評価において大きなアドバンテージとなり、検索結果での表示順位向上につながる可能性が高まります。

Googleは検索結果の品質を高めるために、E-E-A-Tという評価基準を重視しています。2022年12月のアップデートで「Experience(経験)」が新たに追加され、実際の経験に基づくコンテンツの価値が一層高まっています。

これは、実際の体験に基づく情報がユーザーにとって有益であるとGoogleが認識しているためです。個人の経験を織り交ぜたコンテンツを多く公開することで、個人事業主や経営者、小さなお店が、検索結果で上位表示を獲得できる機会を、自分でつくることができます。コツコツ積み上げ派の方には、自分で自分のサイト評価を上げる、やりがいのあるチャレンジになります。

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経験のコンテンツ化が事業にもたらすもの

見込み客の獲得や集客力につながる

経験に基づくコンテンツは、ときに潜在顧客層の悩みや課題のアンサーになります。偶然出会ったブログやサイトで「この方は私の問題を理解している」と感じると、潜在顧客があなたに関心をもち、結果的に問い合わせや申し込みにつながる可能性が上がります。

実体験を交えたストーリー性のあるコンテンツはユーザーの記憶に残りやすく、SNSなどでのシェアも期待できます。これが口コミを生み、さらなる集客につながっていきます。ただし、時間は少しかかります。

信頼感をつくりやすい

経験に基づくコンテンツを発信し続けると、人柄や価値観、問題解決のアプローチを自然に伝えることができます。これにより、まだサービスを利用していない潜在顧客があなたに対する理解と信頼を徐々に深めていくことができます。

ある意味一方的な信頼と理解は、何かサービスを検討するとき、大きなアドバンテージになります。

たとえば、私は税理士や弁護士の方を探すときに、ブログやSNSで発信している方を探します。難しい言葉の羅列ばかりを発信している方だと、実際に会ったときにやっぱり話が難しくて意味がわかりません。ですが、わかりやすい言葉で発信している方は、話しも通じやすいです。だとすれば、私はわかりやすい言葉で発信している方に相談したいと思いますし、実際にそうしています。

発信していない方だと、会ってみないと何もわからず、話してみて「やっぱりだめだった」の頻度が上がります。税理士・弁護士・行政書士を探すのには、本当に苦労したのをよく覚えていますし、今も探すのが相変わらず難しいイメージです。士業の方は発信が苦手な方も多いので、上手にできるとアドバンテージを取れる可能性が高いと感じています。

コンサルティングや出版等の機会を生む

経験に基づく価値あるコンテンツの発信を続けていると、その分野の実践者として認知されるようになります。これにより、コンサルティングや講演、セミナー講師などの依頼のきっかけになることもあります。

まとまった記事を体系化して書籍にまとめるチャンスも生まれます。編集者はいつも出版できるネタを探していますし、最近はオンラインでそれを行う編集者も多いです。PV数やフォロワー数が多いと、部数の算出がしやすいので、出版のチャンスも高くなります。

余談ですが、出版物は1冊あたりのマーケティング費用が著者の知名度によって出る出ないが決まります。多くの出版物は、広告費をかけられないことがほとんどです。ですから、著者自ら自分の本をマーケティングしてくれたり、リストをもっている場合、出版社にとっては御の字。(自分たちが宣伝しなくても)出すだけで部数がはける可能性が高いので、社内で企画が通りやすくなる裏事情もあります。

ですから、出版を目指す場合は、そこを逆手にとって、サイトのPV数やMAU数(月間アクティブユーザー数)のほかに、SNSやメルマガ会員数なども一緒に増やしておくことをおすすめします。出版は知名度や信頼性の向上にもつながりますし、さらなるビジネスチャンスを生み出す可能性があります。

また、書籍化されたコンテンツは、講座やイベント開催など、別の形態でのコンテンツビジネスに展開もできます。経験をもとにした価値あるコンテンツを一度つくると、こうして形を変えて幾度も活用できますし、投資効率の高いビジネス展開の可能性も開けます。

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どんな経験がコンテンツになるか

実務上の経験(成功体験だけでなく失敗体験も価値がある)

業務を通じて得た知見や経験は、最もコンテンツ化しやすいです。たとえば、

  • クライアントの課題をどのように解決したか(事例研究)
  • 難しいプロジェクトでどのような工夫をしたか
  • 業界特有の問題にどう対処したか
  • 効率化のために導入した手法とその効果

とくに注目したいのは、失敗体験です。「こうすればうまくいく」という成功体験も重要ですが、「ここで失敗した、だからこう改善した」という経験は、読者にとって非常に価値があります。失敗から学んだ教訓は、同じ失敗を避けるための参考資料になりますので。

人生経験(転機・決断・挑戦など)

ビジネスに関する直接的な経験だけでなく、人生における重要な転機や決断、挑戦もコンテンツになります。たとえば、

  • 起業を決意したきっかけや背景
  • キャリアチェンジの経験とそこから学んだこと
  • 難しい決断をどのように下したか
  • 失敗や挫折をどのように乗り越えたか

こうした人生経験は、読む方に勇気や希望を与えたり、日々の参考になったりします。同時に書き手の人間性や価値観を伝わりますので、共感や親近感も感じてもらえる機会が増えます。また、心情を赤裸々に書く方はそう多くはありませんので、より深く読み込んでしまううのかもしれません。心に爪痕が残りますよね、そういう話って。

専門性や経験の活かし方

専門性とは、ある分野における体系的な知識や技術のことを言います。経験とは、実際の状況でその知識や技術を適用した実践的な知見です。両者の違いを理解し、それぞれの強みを活かしたコンテンツをつくれると、キラーコンテンツになることも多いです。

専門性を活かしたコンテンツ例

  • 特定ジャンルにおける体系的知識や解説
  • 考え方のモデルや全体像の説明
  • 最新の研究や動向の分析

経験を活かしたコンテンツ例

  • 専門ジャンル×課題の具体的な事例
  • 実際に現場で体験して初めてわかる知恵や工夫
  • 「こうあるべき」という理想と「実際はこうだった」というギャップを埋める情報

理想的なのは、専門性と経験を組み合わせたコンテンツです。

たとえば、大手企業向けの営業手法を、予算の少ない個人事業主向けに私が工夫した5つのアプローチとか、クレーム対応マニュアルに書かれていない、怒っているお客様を落ち着かせる私の3つの声かけテクニックとか、税務の理論上は経費計上できる項目でも、実際の税務調査では否認されるケースを3つご紹介しますとか。

ユーザーが知りたいことや悩んでいること

経験をコンテンツ化する際に最も重要なのは、ユーザーニーズと合致することです。いくら貴重な経験でも、ユーザーが直面している課題や関心事と関連していなければ、その価値は伝わりません。たとえば、

  • 顧客からよく受ける質問を思い出す
  • 業界内で議論に上がりやすいトピックと自分の経験を結びつける
  • SNSでのコメントや反応から関心を探る
  • 過去の記事で特に反響の大きかったテーマを掘り下げる

自分の経験とユーザーニーズの交わるポイントを見つけられると、価値のあるコンテンツをになりますし、自身のサービスを提供する機会にもつながります。

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今ここにある自分ならではの価値

人生におけるすべての経験は、他の誰にもまねできない、唯一無二の自分だけの資産です。それをコンテンツ化することで、差別化された価値を提供し、読者との信頼関係を構築することができます。

私自身がこのブログを書いていること自体が「経験こそが最高のコンテンツ」という主張を裏づけるひとつの事例です。25年の間につくってきた1冊の本や1ページのサイトも、全部数えると大変な数になります(数えたことないけど)。それがあったおかげで、こうして頭の中の引き出しからひとつ一つ引っ張り出して、日々記事を書いています。

「何を書けばいいのかわからない」と悩むよりも、まずは自分の経験を棚卸ししてみてください。そこには、他では得られない価値ある情報が眠っています。

書いた人
まてぃさん
「独立して穏やかに暮らす働き方」を軸にデジタルマーケティングの支援を行っています。自分らしさを出せるSEOライティングとか、自分の商品・サービスのよさを伝えるコンテンツの磨き方がメインのお仕事。趣味はキックボクシングと登山。株式会社Rdesign factory代表取締役。
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