信頼されるコンテンツの、根拠の示しかた
前回記事の続きです。何でもいいから記事を公開すればOKという時代は終わりました。記事はユーザーニーズを満たし、その上で内容的に信頼できる記事であることが重要です。
信頼されるには、いくつかの根拠を示す必要があります。SEOの領域では、Googleが「E-E-A-T(専門性・権威性・信頼性・経験)」という概念でコンテンツの質を見ていますが、それを基準にここでは説明しています。「E-E-A-T」の4要素から、残りふたつを説明します。
3. 発信者の信頼性を示す(Trust:信頼性)
公開している情報の質が高く、記事として見た目が整っていても、発信者の信頼性が感じられないと「この人の言うことは信じられる」と思ってもらうのは難しいです。重要なのは「誰が言っているか」ですよね。「この人の言うことは信頼できる」と思ってもらうために、信頼できる情報を伝えている根拠を示す3つのポイントがあります。
1. 自分のことを適切に伝える
- ○○の経験があります
- ○○が得意分野です
- ○○の領域で実績があります
のように、客観的な事実で判断できる情報を事例として紹介したり、プロフィールや実績ページにわかるように出しておきます。
例:出版業界で19年働きました。そのうち、7年半は編集者として働き、残りはディレクターとして働きました。現在はデジタルマーケティングのコンサルタントとして働いています。
とか。
2. 情報の出所を明らかにする
- この情報は○○から
- 〇年〇月時点のデータです
- この記事は△△と関係があります
読者が”情報の確かさ”を判断できるように、何を根拠に書いているのか示します。いわゆる「ソース元」「引用元」というやつです。
例:2025年1月時点でのGoogleコアアップデート情報に基づいています。
とか。
3. 一貫した姿勢を保つ
- ブレない軸を持つ
- 定期的に情報を届ける
- ユーザーの声に耳を傾ける
ユーザーと長期的な信頼関係を築くために、発言者が一貫性のある言動を取ることも必要です。一定のテーマについて発信したり、同じ時間に投稿するのも一貫性を形作る要素になります。
例:発信者が「コンテンツの質を重視する」方針を一貫して主張し続ける。
とか。
信頼を失いやすい言動
信頼を損なう典型的なパターンには、以下の要素が挙げられます。
- 大げさな表現や誇張
- 出所がわからない情報を使う
- 根拠のない断定的な表現をする
- その場限りの無責任な提案をする
残念ながらYouTubeやSNSではこうした投稿が注目されやすく、よく使われます。でも、それはそれ、これはこれです。最終的に得たいのは「バズり」なのか、「信頼」なのかを考えるのが大切です。
私は自分がコツコツ真面目にやりたいタイプなので、地味でいいと思っています。現にそれを好む方が、仲間になってくれます。オンラインでは派手なほうが目立ちますし、耳目もアクセスも集めますが、派手なテンションを長続きさせるのは難しいです。人はすぐに刺激に慣れてしまいますので。
4. 経験で語る(Experience:経験)
「理論的にはそうかもしれないけど、実際どうなの?」という疑問に答えられることも、信頼されるコンテンツの重要な要素です。経験を通してしか得られないことがあり、その方ならではの価値がそこに生まれるからです。
経験を活かした3つの価値提供
- 実体験に基づく具体例
「実際にやってみたら○○でした」
「○○で失敗しました」
「○○を改善したら、うまくいきました」
理論や抽象的な内容を羅列するのは、実はとても簡単です。難しいのは、それを具体化すること。とくに経験や特徴は人それぞれで、伝え方が難しいもの。だからこそ、具体的に表現します。それでこそ、その人ならではの経験だから○○をもたらした、のようなことが第三者に特記事項として伝わります。
例:クライアントの強みである『丁寧なヒアリング』『時間をかけた提案』を、特徴として前面に出した記事作りに切り替えたところ、問い合わせの質そのものが変わりました。
とか。 - 現場で使える具体的なアドバイス
「まず○○から始めるのがおすすめです」
「○○は気をつけましょう」
「○○の方法も効果的です」
何か説明をした際は、すぐに実践できる方法や情報も併せて提供します。そうすると、ユーザーは「ちょっとやってみようかな」と新しいことを始めるきっかけができたりします。例を示すなら次のアクションまで提示できると、ユーザーは自分事として情報を受け取りやすくなりますし、楽しさも増えますよね。
例:最初は自社の強みを3つリストアップすることから始めます。具体的なエピソードとして書き出してみましょう。
とか。 - 予想される課題への対応
「○○な問題が起きるかもしれません」
「○○のときは、△△に対処します」
「○○まで想定しておくといいです」
経験から得た実践的な知見を共有します。これこそ経験がないと言えないことですよね。やってもいないのに書くのは、ただの知ったかぶりです。
例:SEO記事を書き続ける場合、最初はアクセス数が思うほど伸びないかもしれません。ですが、想定顧客に響く内容にテーマを絞って書き続けることで、徐々にユーザーもアクセスも増えていきます。小キーワードなら1週間から1か月が目安です。少し気を長くもって続けましょう。伸びないときは、キーワード設定に問題があると考えて、データを見直します。
とか。
なぜ経験が重要なのか
情報過多な今、誰でにでも書ける単なるハウツーはあまり価値がありません。実際にやってみて、失敗して、改善して、成功したひとり一人の経験こそユーザーが求めているものなのです。
モノを買うとき、レビューを読みますよね。文章が上手か下手かは関係なく、いいことも悪いことも書いてある個人の感想を読んで、「自分が買いたいものはこれだ」と確信をもったり、「○○な点があるなら買わない」と判断します。
記事や投稿も、根本はそれと同じです。そのレビューに信頼性があるかどうか判断するとき、気になるレビュワーの過去投稿を見て判断することもあると思います。そのレビュワーの投稿に一貫性があるか見た上で「この方の投稿は信じてよさそう」と判断します。それも経験による信頼性を見ているわけです。
信頼されるコンテンツづくりのために
信頼されるコンテンツづくりは、一朝一夕にはいきません。情報の質を高め、わかりやすい表現で伝え、発信者としての信頼性を示しながら、実践的な価値を提供する。言葉にするとなんだか難しく感じますが、情報をわかりやすく、曲げずに根拠を示しながら例を挙げて伝えられれば、それでOKです。
難しい言葉や専門用語ではなく、誰もがわかる言葉で書くほうが難しいです。だからこそ、わかりやすい表現ができる方に人気が集まるのです。
これらはGoogleが「E-E-A-T(専門性・権威性・信頼性・経験)」として重視している要素と重なります。なぜなら、Googleもユーザーにとって価値のある、信頼できる情報を届けることを目指しているからです。ですから、信頼されるコンテンツをつくることは、
- SEO対策としても有効
- ユーザーが安心して読める記事になる
- 発信者の信頼性の向上につながる
という、複数の効果をもたらします。とくに重要なのは「誰が書いているのか」という発信者の身元がはっきりしている点です。
その際、ハンドルネームやペンネームでも問題ありませんが、一貫性と連続性が必要になります。私もオンラインでは「まてぃ」という名前で活動していますが、個人ブログには運営会社を紐づけていますし、法人情報として本名や所在、Whois情報なども紐づけています(Googleにわかる形でやるのがとても大事)。
話を元に戻すと、
「この情報は本当にユーザーの役に立つか」
「より丁寧にわかりやすく説明できる部分はないか」
「ユーザーが実践できる再現性があるかどうか」
ひとつ一つのコンテンツにこうした問いかけを続けることで、コンテンツの信頼性を高めていくことができます。結果、この積み重ねが長期的な価値を生み出す力となるのです。それって素敵なことだと思いませんか。