やりたくないことから逆算する自分の市場価値の見つけ方
紹介案件を中心とした働き方から案件サイトでの仕事探しまでやってみて、その過程で気づいたのは、自分の市場価値は「やりたいこと」や「できること」からではなく、「やりたくないこと」から見えてくるのではないかという点です。
最初は「独立したばかりだから、来る仕事は選り好みせずに受けよう」と考えていました。でも、その考えが自分の市場価値を見えにくくしていたのかなと今は思います。
「NO」を言えない理由
「NO」と言えなかった背景には、恐れがありました。
どんなにうまくいっている仕事でも、私より単価が安くてよく働く方が現れれば、すぐに取って代わられてしまいます。それが怖かったのです。出会う同業者はみなさん優秀ですし。仕事を失うことへの不安で、「NO」が言えませんでした。
しかし、この経験を通じて気づいたのです。「自分らしい仕事」「納得してやり切れる仕事」を細く長くし続けるためには、「やりたくないこと」を明らかにする必要があると。判断基準をつくることが、私には必要でした。怖さを手放して初めて得るものがありました。
やりたくないことリストをつくる
やりたくないことを書き出してみると、逆説的ですが、判断基準としてわかりやすい物差しになるなあと思いました。
- 約束を守らない方・言うことが毎回違う方との仕事
→論外 - 人任せ・丸投げをよしとする方との仕事
→以前はケースバイケースでやっていましたが、やめました。デジタルマーケティングは人任せだと結果が出にくいです。結果は主たる方の動機と行動力に強く依存します。 - 目先の利益だけを追求する仕事
→一瞬いい結果は出るかもしれませんが、関わる全員が得る結果や未来がよくならないならやりたくありません。クライアントも、クライアントの顧客も、私も幸せになる仕事をしたいです。 - 「早く」「安く」「大量に」が条件の仕事
→ちょっと違うかなあと。仕事の質にもこだわりたいですし、結果につながる仕事がしたいので。 - クライアント(社長)の承認欲求を満たすだけの仕事
→たまにある「俺讃歌」な仕事。ありがたいですが、そういう仕事を好きな人がやるほうがうまくいくと思います。 - 予算消化が目的の仕事
→これもたまにあります。「本質的な部分はどうでもいいから、形だけやってレポーティングして。お金は払うから」みたいなお仕事。ありがたいですが、本質的な課題解決になる仕事がしたいので、私との相性はよくありません。
これって、会社員のときは断ってた仕事なんですよね。会社員のときは、言うことを聞かないといけない立場であっても頑なにこの基準を守っていて、よく怒られていました。なのに、独立してからはこれを飲んでたんですよね。失う怖さを手放せなくて。
逆算で見つかった自分の市場価値
やりたくないことを明確にする過程で、本当に提供したい価値が見えてきました。目の前の依頼の奥にある本質的な課題を見つけ出し、クライアントと共に未来を描き、つくることです。
「やりたくないこと」をひっくり返して考えてみると、私が提供できる価値を言語化できました。
- ご依頼の背景にある本質的な課題を見つけ出す
- クライアントの「なぜ」を丁寧に紐解くインタビュー力
- 限られたリソースの中で優先順位をつけ、実行する
- オンラインならではの販促・発信の方法を自分で身につけたい方をサポートする
これって、やりたくないことの対極ですよね。どうしてやりたくないかを考えたほうが、やりたいことや強みを考えるより、自分の考えははっきりするものだなあと思いました。
断るようになった結果どうなったか
やりたくないことがはっきりしたら、自分の市場価値が見えてきましたし、案件を選ぶ際の判断基準も変わりました。
「ムリな依頼を断る」というと消極的に聞こえるかもしれません。でも実際は、「断ることで、より本質的な価値を提供できる仕事のための余白が生まれる」と考えることにしました。
その結果、不思議なことに選択肢が増え、より自分らしい仕事との出会いが増えています。失う怖さもなくなりましたし、平和な気持ちでお仕事をさせていただいています。
マインドの問題なんでしょうかね?