書きたいけど、書けない人のための情報発信入門

独立して仕事をする方にとって、日々の経験や知識を整理し、自分の専門性を高めていくことはとても大切なことです。しかし、頭の中だけで考えを巡らせて、デスクに座っているだけでは、方向性は見えてきません。頭の中にある考えは、「もやもや」とした状態で、「〇〇をすれば明確になる」という方法論もありません。
このもやもやを晴らす方法のひとつが、「書くこと」です。ですから、独立して自分の専門性や独自性を尖らせたい方には、ブログをおすすめしたいです。

書くことで自分の価値が研ぎ澄まされていく
私がこのブログを書き始めた頃は「何か書きたい」という気持ちだけが先走って、何から手をつければいいのか、正直わかりませんでした。
目についたことを手探りで書いてみるものの、明確な目的意識がないから続きませんでした。その悲しさとともに空回りしている感覚、今でもよく覚えています。
ブログを書くことで得られる3つの価値
1. 考えが整理でき、深みを増す
ブログを書く過程で、自然と自分の考えを論理的に組み立てることになります。「なぜそう思うのか」「どうしてその結論に至ったのか」を説明しようとすると、自分でも気づいていなかった思考の繋がりが見えてきます。
自分の職業ならではの専門性を発揮する機会も増えますので、知識の整理もできますし、どこに強みを自分自身が感じているか気づく機会にもなります。
2. 知識が定着し、発展しやすくなる
文章で何かを書こうとすると、自分の持っている知識を掘り下げることになります。その過程で新しい気づきが生まれ、足りないことに気づいて調べたり、新しい情報を仕入れたりもしますので、新たな学びになります。
くわえて、書いたことは記録として残るため、あとから振り返る材料や記録にもなって便利です。ブログとして公開していれば、誰かの役に立つこともあると思いますし。
3. フィードバックを通じて成長の機会を得られる
ブログには読者からのコメントやリアクションという形で、フィードバックが返ってくることもあります。これは本当にありがたいことです。反応を通じて、自分で気づいていない部分に気づいたり、新しい視点やネタを得ることができるからです。
実はこの記事も、先週配信したメルマガにいただいたご返信をもとに書いています(笑)。
専門性を活かした文章は強みになる
情報発信において、プロフェッショナルとしての文章は強い武器になります。たとえば、私の文章のつよみは、思ったこと全部、頭に浮かんだまま好きな文体で文章にできることです(笑)。
そこにデジタルマーケティングの知識やノウハウを交えて記事を書いています。ですので、私の文章は、私の頭の中に浮かんだことを、私の口調で書いているので、他社がコピペして書きにくい文章になります。
デジタルマーケティング業界の笑い話のひとつに、A会社が「F」について記事を書くと、続いて、B社やC社も「F」ついて記事を書く流れがあります。SEOテクニックを駆使して書くので、A社が書いた記事が、B社やC社によってどんどんブラッシュアップされていきます。内容はだいたい同じです。
しかも、組織としての発信なので、個人としての色をできるだけ消した形で書かれています。リライトが進むほど、記事の違いやその会社のよさがよくわからなくなっていくのです。
個人として情報発信をする強みは、まさにその「個」としての自由度にあります。組織として情報発信する場合は、常に組織の利益や方針が優先されます。ですが、個人の発信であれば、自分自身のブランディングや、実際の仕事につながる経験を、忖度することなく自由に書くことができます。
このバランス、つまり「プロフェッショナルとしての記事内容」と「個人としての自由な表現」の両立が、価値ある情報発信のカギになります。

専門家として評価される書き方 ―― E-E-A-Tの重要性
「E-E-A-T」(Experience, Expertise, Authoritativeness, Trustworthiness)という言葉をご存知でしょうか。これは、Googleが情報の質を評価する重要な指標です。

ざっくり説明すると、
- Experience(経験):実際の体験に基づく情報
- Expertise(専門性):その分野での専門的な知識
- Authoritativeness(権威性):信頼できる情報源としての認知
- Trustworthiness(信頼性):情報の正確さと信頼度
専門家として情報発信をする場合、このE-E-A-Tの考え方を知っていると知っていないとでは大違いです。自分の経験と専門性を適切にアピールすることで、Googleからより高い評価を得られ、結果として記事が上位表示されやすくなるためです。
逆に言うと、示さないままブログや自社サイトを匿名のまま示しても、上位表示はされません。ですから、個人として情報発信する際は、
- プロフィールページで自分の専門分野や経験を明確に示す(実在の人物であることの証明をする)
- 記事の中で経験に基づく体験や例を提示する
- 専門家としての見解や情報源を示す
ブログの検索結果の表示順位を上げたい方には、この3つを意識してプロフィールページをつくったり、記事を書くのをおすすめしています。
余談ですが、私は「まてぃさん」というハンドルネーム(?)でブログを書いていますが、運営会社としてこのブログに会社サイトを紐づけた上で、顔・名前・ハンドルネームをGoogle上で会社と個人を紐づけた実在する人物であると証明する方法を取っています。
「まてぃさん」表示を本名にすれば、もう少し全体的に検索結果の上位表示ができるのですが、本名でインデックスされたくないので「まてぃさん」という名前を使っています。SEO的に賢いやり方ではありませんが、意図があってそうしています。
コンテンツは可能性の幅を広げる種になる
最初は何も書けなくても、書いているうちに何を書きたいのか気づくことも出てきます。こちらをご覧ください。今日一覧表をつくったんです。私が1月から今日まで書いた記事タイトルの。

これを見て気がついたことがありまして。
ブログ記事や会社のコンテンツ記事を書いて、ある程度量がたまると、いわゆる「コンテンツホルダー」になるんですね。経験を積んだ個人がコンテンツホルダーになり、そのコンテンツを起点に自分の仕事を広げていくことができます。それって私のやりたいことだから、無限にネタが湧いてくるんだなあと。
出版社はコンテンツホルダーでもあるので、私が会社員時代は、会社が持っているコンテンツをいかに二次利用・三次利用するかを考えていたんですよね。紙でもWebでもイベントにでも。あるいは他社に売るとか。
それは出版社にだけ許されたことではなくて、どんな会社でも、個人でも、いくらでも機会や方法があるわけです。コンテンツを利用する方法や、個人が個人を売り出すためにコンテンツをつくったり、それを活かす方法を、私は書きたいのかもなあと気づきました。それが、ひいては私のやりたいこととつながっているとも思いましたし。

書きたいけど書けない人への実践のヒント
何度か書いているので、いつも同じ内容で恐縮ですが。書けない方におすすめの行動です。
- まずは週1回、5分でいいので書く時間を作る
- 日々の業務で感じたことや、クライアントからよく受ける質問をテーマに書いてみる
- 完璧を求めすぎない
- 書いたことを親しい友人や同僚に話してみて、フィードバックをもらう。「ねえこれどう思う?」と雑談で
- もらったフィードバックをもとに、また書いてみる
しょぼい文章で全然かまわない
やってみないとわからないことのほうが多いです。とくに書くことは。
いい文章や役に立つ文章を書きたい気持ちはいったん横に置いて、とにかく何でも書いてみてください。しょぼい文章で全然問題ないのです。質より量。量をこなすことで見えてくることがあります。わからなくて、何も書けなくても、そう思って立ち止まって考えた時間が、書きたいことがはっきりしたときのエンジンになります。